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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「遺伝する」とはっきり分かっているがんは、ごくわずか

公開日: 更新日:

 先日、知人女性からこんな相談がありました。

がんは遺伝するのでしょうか?父も父の兄弟もがんでした。母の親戚にも、がんで亡くなっている人がいるのです。友人に『あなたの家は、がん家系ね』と言われました。私もがんで死ぬのでしょうか? 婚約する前に、相手に言わなければならないでしょうか?」

 2人に1人はがんになる時代ですから、親戚にがんの方がいない方がまれかもしれません。確かに、遺伝するがんはあります。しかし、はっきり遺伝するがんと分かっているのは、がん全体のごくごくわずかにすぎません。

 たとえば、家族性の乳がん・卵巣がんになりやすいといわれる遺伝子があります(遺伝性乳がん・卵巣がん症候群‥BRCA1/BRCA2遺伝子)。この遺伝子を持っている場合、がんになる確率が高いことが分かっています。そのため、ハリウッドの有名な女優さんが乳がん予防のために両側の乳腺を手術で取ってしまったことが数年前に話題になりました。

 もしこの遺伝子を持っていると分かった場合、専門医による定期的な検診が勧められています。さらにこの場合は、卵巣がんになる確率が高いことと、卵巣は骨盤内にあってがんの早期発見が難しいことから、子供を生み終えた後、がん予防のために手術で卵巣を取る医療が日本でも行われるようになってきました。この遺伝子は、男性の乳がん、前立腺がんとも関係するようです。

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