著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

前立腺がん 30年間で患者数5倍増も死者数は横ばいのナゼ

公開日: 更新日:

 原因は前立腺がん検診、とりわけPSA検査の普及にあることが明らかになりつつあります。PSAは血液から前立腺がんの有無を判定するスクリーニング検査です。手軽で感度がいいことから、世界中で普及し、日本でも会社や自治体の健診に広く採用されています。

■欧米はPSA検査を控え始めた

 実は前立腺がんの多くは大変おとなしく、放っておけばほとんど悪さをしないことが分かっています。しかも75歳以上の3人に1人は、これを持っているともいわれています。いわば老化現象のようなものなのです。したがってPSA検査を行えば、とりわけ高齢者で「異常」が多く見つかります。すると精密検査をしたくなり、結果として患者が急増したというわけです。年齢調整罹患率が増えても、死亡率があまり変化していないのはそのためです。

 欧米ではすでにPSA検査を控える動きが出始めており「患者」が徐々に減りつつあります。しかし、日本では逆にもっとPSA検査を普及させようとしています。受けるかどうかは、あなた自身の選択です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋