著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

ジュースで薬を飲む場合に注意するべき3つのポイント

公開日: 更新日:

 薬と一緒に飲んではいけないもの、あるいは問題ないものとして、これまで、硬水や軟水、炭酸飲料、カフェインを含んだ飲料、アルコールを取り上げてきました。では、「ジュース」はどうでしょうか?

 薬との飲み合わせを考えたとき、ジュースで注意すべきは「糖分」「ミネラル」「酸性度」の3点です。糖分は直接薬の飲み合わせとは関係のないものですが、病気という意味においては恐ろしい場合もあります。糖尿病の患者さんにとってはもちろんですが、若く健康な人でもスポーツドリンクの大量摂取によって急性糖尿病になり、意識を失って運ばれてきた症例を経験したことがあります。

 また、「ミネラル」に関しては、カルシウムやマグネシウムと薬の飲み合わせについて別の回で説明したように、注意が必要な場合があります。スポーツドリンクや乳酸飲料などにはマグネシウムやカルシウムを多く含むものもありますので気を付けてください。

「酸性度」については炭酸水を取り上げた回で「問題ない」と述べました。ただ、飲み合わせには問題がなくても、飲みにくくなる薬があるのはご存じでしょうか。たとえば、苦味の強い抗生剤やてんかんの薬の中には苦味を抑えるコーティング加工が施されている製剤があります。そうした薬をジュース(中でもオレンジジュースやスポーツドリンクなどの酸味があるもの)で飲んだところ、コーティングが剥がれて余計に苦くなり、かえって飲みにくくなったという経験がある方もいらっしゃるでしょう。

 薬は多くの場合、継続して飲む必要があるものが多いため、飲みやすさは服薬コンプライアンスに大きく影響を与えます。ジュースも硬水や炭酸水と同程度に注意を払い、糖分摂取には十分注意しましょう。

【連載】クスリと正しく付き合う

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発