著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

追跡調査を約18年 ストレスでがんになりやすいは本当か?

公開日: 更新日:

 ストレスは体にさまざまな影響を及ぼすと考えられています。ストレスと病気についてインターネットで調べてみると、実にいろいろな記事が見つかります。“ストレスを抱えたまま生活をしていると免疫力が下がってがんになりやすい”なんていうものまでありました。

 そんな中、ストレスと発がんリスクの関連を検討した観察研究の論文が、自然科学系の学術専門誌「サイエンティフィックリポート」(2017年10月11日付)に掲載されています。

 この研究では40~69歳の日本人10万1708人が対象となりました。ストレスのレベルは、「あなたの日常生活にどれくらいのストレスがありますか」という質問に「少ない」「平均的」「多い」で回答してもらい、それぞれ低レベル、中レベル、高レベルと分類しています。ストレスが低レベルの人と比べて、中レベル、高レベルの人での発がんリスクが比較検討されました。

 なお、結果に影響を与えうる、年齢、性別、睡眠時間、喫煙、食習慣などの因子で統計的に補正をして解析しています。


 平均で17.8年にわたる追跡調査の結果、ストレスが低レベルの人と比較して、中レベル、高レベル、いずれの状態においても発がんのリスクは上昇せず、「ほぼ同等」という結果でした。ただし、長期間にわたり高レベルのストレスにさらされ続けた人では、常時低レベルの人と比較して、発がんリスクが11%上昇することが示されました。

 ストレスと発がんリスクの間に直接的な関連性は少ないといえますが、長期間ストレスにさらされ続けることで健康的な生活が脅かされ、それががんの発症リスク増加につながる可能性はあるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も