著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

糖尿病は増えていないという事実こそ強調したい

公開日: 更新日:

 若い世代での糖尿病の増加の証拠はなく、70歳を越えた高齢者、特に男性の糖尿病患者の増加は明らかというのが国民栄養調査の結果です。

「70歳未満での糖尿病が増えてはいない」というのはとてもいい結果ですが、そのいい結果は世の中になかなか流れません。それどころか、高齢者の増加と限定されずに、とにかく「国民栄養調査の結果、糖尿病が増えていることが判明した」というように情報が流れるわけで、それが70歳未満の世代にも届きます。

 そうなると、70歳未満の糖尿病が増えているなんて情報はうそということになりますが、それを「うそだ」と指摘するのはなかなか難しく、「うそというほうがうそ」と受け取られるのが関の山で、細かくデータを読み込んで、この連載のように長々と時間をかけて取り扱う必要があるわけです。それでもまだ難しい。

 糖尿病は増えているという情報ばかりが垂れ流される中、70歳未満では増えていない事実についても、ちゃんと情報提供されるべきと思います。「そんなことをしてまた糖尿病が増えたらどうするんだ」という意見があるかもしれません。もちろんその通りなのですが、世の中全体では糖尿病を心配させる情報があふれていて、そんな心配は無用でしょう。むしろ過度に心配する人があまりに多いことのほうが問題ではないでしょうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?