ダ・カーポ榊原政敏さん ギター姿勢が招いた“職業病”体験

公開日: 更新日:

 病室の扉は閉めっぱなし。誰とも会いたくないし、誰とも話したくなかったんです。苦しくて赤ちゃんみたいにベッドで丸くなってハァハァ言っていました。それなのに、妻は次々とお見舞いの人を連れてくるんですよ(笑い)。元気づけようとしてくれているのはわかったんですけど、「こんな苦しい時に……」と思いました。

 体もきつかったですが、精神的にもダメージが大きくて、情けない話ですが「こんなんじゃもうギターも持てないし、歌も歌えない」と思いました。先が見えない苦しさで人生を悲観したんです。そして思い詰めた結果、妻に「俺、もう歌わないからおまえひとりでやってくれよ」と言い放っていました。それくらいすべての気力を失ったのです。

 でも、数日後、妻はこう言いました。「じゃあ、私ひとりでやるわ。最近ひとりでステージをやってみたら案外気楽でいいのよ。でも、あなたはこれからどう生きるの?」と……。そう言われてよくよく考えたら、音楽をやめたら何にも残らないことに気づいたんです。「音楽やめたらみじめな人生だな」とね。


 妻は、ボクがそう思うだろうことを完全に見越していたようです。「俺、やっぱりやる」と妻に宣言したら、急に「早く退院しなくちゃ」と思い、前向きになれました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった