著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

記憶を回復させる薬か マウスと人間での研究結果が論文に

公開日: 更新日:

 記憶は忘れてしまっても、ふとした瞬間に思い出すことがあります。しかし、忘れた記憶を自由に想起させる方法は今のところありません。そんな中、ベタヒスチンという薬の記憶回復効果を検討した論文が、2018年12月19日付で、精神神経疾患に関する国際誌に報告されました。

 記憶の形成には脳内のヒスタミン受容体が関与していると考えられています。ベタヒスチンは、めまいを引き起こすメニエール病の治療薬ですが、脳内のヒスタミン受容体を刺激する作用があり、記憶回復効果の可能性に期待が集まっていました。

 この研究では、マウスにおもちゃを見せて、その形を学習させています。一般的にマウスは1週間経過するとおもちゃを思い出せなくなるそうですが、ベタヒスチンを与えたところ、おもちゃの記憶を思い出せるようになりました。さらに、38人の研究参加者を対象に、たくさんの写真を見せ、その1週間後に実施した記憶テストで再び写真を見せながら、写真を覚えているかどうかを質問しました。その結果、ベタヒスチンを服用していた人では、そうでない人に比べて11%、統計学的にも有意に正解率が高いという結果でした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ