著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

難治性の白血病の遺伝子治療薬は「患者自身の血液」が薬に

公開日: 更新日:

 実際に医療現場で使われている遺伝子治療薬の中から、今回は難治性の白血病の治療に対する遺伝子治療薬である「キムリア」(一般名:チサゲンレクルユーセル)について解説します。キムリアは「CAR―T(カーティー)療法」の先駆けとなった薬で、2019年3月に日本でも認可が下りている画期的な新薬です。

 まずキムリアが注目された理由のひとつに価格があげられます。1回の治療にかかる金額は約3400万円。保険診療も可能なので、患者さんが満額を支払うわけではないとはいえ、超高額です。

 もちろん、注目されたのは価格だけではありません。キムリアは他の薬とまったく違う、まったく新しい薬です。従来、「薬」といえば、合成した化学物質、天然物から抽出した化学物質、最近では生物学的製剤と呼ばれる細胞由来の製剤や血液製剤などでした。しかし、キムリアは「自分自身の血液(細胞)」が薬になるのです。

 キムリアの製造方法を大まかに解説すると、自分の血液を採血などで取り出し、そこからT細胞と呼ばれる血液成分を分離し、そのT細胞に遺伝子改変(導入)をします。つまり、自分自身の細胞をいったん取り出し、がん細胞を攻撃できるように攻撃力を高めた上で、自分の体に戻すのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?