著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

対症療法だけだった難病が遺伝子治療薬で治療できるように

公開日: 更新日:

 これまで、遺伝子治療薬の基本的な仕組みや開発の背景についてお話ししてきました。今回からは実際に医療現場で使われている遺伝子治療薬を紹介していきます。

 一口に遺伝子治療薬といっても、いくつかの種類に分かれていて、「すべてがまったく違う薬」という認識でよいといえます。「胃薬」や「鎮痛薬」といったように、「遺伝子治療薬」を同種同効薬としてひとくくりにするのは難しいということです。

 そんな遺伝子治療薬の中から、まずは「脊髄性筋萎縮症」(SMA)に対する2種類の遺伝子治療薬を取り上げます。「スピンラザ」(一般名:ヌシネルセン)と「ゾルゲンスマ」という薬です。この2種類はどちらもSMAの遺伝子治療薬ですが、その作用機序は大きく異なります。それぞれの薬の説明に入る前に、治療対象となるSMAと遺伝子の関わりについて説明します。

 SMAは脊髄及び脳幹内の運動神経の変性によって引き起こされる神経筋疾患で、SMN1遺伝子の異常が明らかな原因となる遺伝性疾患です。SMN1遺伝子の異常(変異や欠損)によって、正常に機能するSMNタンパク質が作られなくなり、量が足りなくなることによって、神経や筋肉が正常に発達できなくなったり機能できなくなってしまいます。小児で発症し、歩行困難をきたしたり、横隔膜の筋力低下によって呼吸ができなくなり死に至ります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず