著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

最高額の薬はウイルスを使って遺伝子を細胞の核まで届ける

公開日: 更新日:

「脊髄性筋萎縮症」(SMA)に対する遺伝子治療薬の解説を続けます。前回は、2種類ある遺伝子治療薬「スピンラザ」(一般名:ヌシネルセン)と「ゾルゲンスマ」のうち、スピンラザについてお話ししました。スピンラザは世界初の核酸医薬品で、価格は1瓶(5ミリリットル)で932万円、最初の1カ月の薬代は3000万円弱という超高額医薬品として注目されました。

 しかし、ゾルゲンスマはそれをはるかにしのぐ現在の最高額医薬品で、1回の投与が約2億3000万円という超ド級の金額なのです。ただし、ゾルゲンスマは国内未承認で、日本国内で使用されることはありません。

 ゾルゲンスマの画期的なところは、まず「一生に一度きりの投与」という点が挙げられます。通常、薬は継続的に使用するものですが、ゾルゲンスマは一度で効果を持続するのです。

 2つ目に、目的としている神経細胞の核まで薬を到達させるのに「ウイルスを用いている」という点で画期的です。簡単にいうと、病気(SMN1遺伝子異常)によって不足したSMNタンパク質を再び体内で作れるようにするため、SMN1遺伝子をウイルスに入れ、そのウイルスを感染させることによって薬を細胞まで運ぶのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」