著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

肥満予防やメタボ解消には朝食にパンとコーヒーがいい?

公開日: 更新日:

 食事の内容は飲み物の選択にも影響することでしょう。朝食にパンを食べるなら、飲み物はお茶というよりコーヒーか牛乳ではないでしょうか。コーヒーの摂取と健康との関連性を検討した研究はこれまでにも多数報告されていますが、いくつかの研究ではメタボリックシンドロームや肥満のリスク低下が示唆されています。そんな中、コーヒーや緑茶の摂取量と肥満の関連を検討した研究論文が、栄養学に関する国際誌の電子版に2020年10月11日付で掲載されました。

 この研究では、3539人の日本人(平均57・6歳、平均BMI【体重<キロ>を身長<メートル>の2乗で割った値】22・2)が対象となりました。被験者に対してコーヒーや緑茶の摂取量、朝食にパンを食べる頻度についてのアンケートを行い、肥満(BMI25以上)やメタボリックシンドロームとの関連性が検討されています。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、飲酒量、高血圧脂質異常症・糖尿病の有無などの因子について統計的に補正を行い、解析されました。

 その結果、コーヒーの摂取量が1日1回未満の人と比べて、1日1回以上の人では肥満が13%少ない傾向にあり、メタボリックシンドロームについては29%、統計的にも有意に少ないことが示されました。他方で緑茶の摂取については明確な関連性を認めませんでした。また、毎日コーヒーを飲み、さらに朝食にパンを食べる人では肥満が39%、メタボリックシンドロームが41%、統計的にも有意に少ないという結果でした。

 コーヒーやパンが直接的に肥満やメタボリックシンドロームを改善しているわけではないように思いますが、体重が気になる人は、ご飯と緑茶の組み合わせより、パンとコーヒーの組み合わせを選ぶのもいいように思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも