著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

認知症の予防にはサウナが効果的な可能性あり 専門誌で報告

公開日: 更新日:

 熱気を用いた蒸し風呂をサウナと呼びます。蒸気により室温を70~100度に保ち、そこで5~20分過ごすのが一般的なサウナ入浴です。サウナの発祥の地であるフィンランドでは、サウナ入浴に関するさまざまな研究が行われているようです。そんな中、予防医学の国際誌に2020年10月2日付で、サウナ入浴と認知症の関連について検討した研究論文が報告されました。

 この研究では、フィンランドに在住している30~69歳の1万3994人が対象となりました。研究参加者に対して、サウナの利用頻度に関するアンケート調査を行い、認知症の発症リスクとの関連性が検討されています。なお、結果に影響を与えうる年齢、性別、教育水準、飲酒・喫煙状況などの因子について、統計的に補正をして解析されました。

 39年にわたる追跡調査の結果、認知症のリスクは1カ月当たりのサウナ入浴が4回以下の人と比べて、9~12回の人で19%、統計的にも有意に低下しました。しかしながら、13~30回の人では認知症のリスクと明確な関連性を認めませんでした。

 適度なサウナ入浴は、認知症の予防に有益である可能性が示されています。ただ、サウナを利用する人は、利用しない人に比べて健康的で、もともと認知症のリスクが低い人たちだったかもしれません。また、サウナの利用頻度については研究開始時の1回しか調査されておらず、その後の利用状況の変化については考慮されていません。当初はあまりサウナを利用しなかった人でも、その後に利用頻度が増えたかもしれません。とはいえ、認知機能に悪い影響が示されたわけでもありませんので、これからの寒い時季、サウナで体を温めてみるのも良いかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁