著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

輸血も在宅で可能 不快症状が改善して余命が延びる人もいる

公開日: 更新日:

 病状が進行し、さらには肺炎を併発するなどして入退院を繰り返すことになったのですが、本人の希望で在宅で治療を受けることになりました。貧血と血小板減少がひどかったため、その病状に合わせた赤血球と血小板の輸血を、在宅で行うことになりました。

 肺炎発症を回避するために、抗生剤も投与しながらコントロール。好きなテレビを見たり、家族と一緒に食事をしたり。家の中でリラックスした状態で治療を受けられたのがよかったのでしょうか。在宅医療開始時には「余命1カ月ほど」と言われていたのが、半年ほど頑張ることができ、最期は眠るように旅立たれました。

 輸血を検討するのは、不快な症状が輸血で改善する見込みがある時。しかし、いくつか条件があります。意識障害がなく本人が物事を選択できること、患者さん本人が輸血に拒否を示していないこと、十分に経過観察ができると考えられることなどです。

 どの医療機関の在宅医療を受けるか、迷った時は「輸血を在宅で行っているか」を一つの選択肢にするといいかもしれません。特に、白血病など血液の病気の患者さんや、抗がん剤治療の副作用で赤血球や血小板をつくることができなくなっている患者さんにとっては、在宅で輸血が受けられるメリットは大きいでしょう。

 とはいえ在宅医療機関で輸血を行っているところは少なく、全体の1・5%ほど。しかし今後は、在宅で輸血を行う医療機関が増えてくるのではないかと、期待しています。

【連載】最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった