著者のコラム一覧
蘆野吉和日本在宅医療連合学会代表理事会長 日本ホスピス・在宅ケア研究会理事長 庄内保健所医療監

1978年、東北大学医学部卒。80年代から在宅緩和医療に取り組む。十和田市立中央病院院長・事業管理者、青森県立中央病院医療管理監、社会医療法人北斗地域包括ケア推進センター長、鶴岡市立荘内病院参与などを歴任し現職。

治る見込みのない患者で占められた病床を目前に思ったこと

公開日: 更新日:

 QOD(クオリティー・オブ・デス=死の質)という考え方が広まっている。QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)だけでなく、終末期も満足できるものにする――。超高齢社会に突入し多死社会を迎える日本において、これは真剣に検討すべきテーマだろう。

 そのための医療のあり方も重要なポイントだ。

「これまでは、人生の最終段階を病院で医療者にお任せするというのが当たり前になっていました。人々は“医療”を中心に据えて人生の最期を迎えていたのです。でも、本来の医療は、人々の暮らしを支える“黒衣”。人生を支配するものではありません」

 こう言う蘆野さんは、在宅医療に携わる前は腫瘍外科医だった。東北大学医学部を卒業後は東北大学病院に勤務し、1985年に福島労災病院に赴任。胃・大腸・肝臓などの消化器系のがん乳がん、甲状腺がんをメスで切除してきた。

「腫瘍外科医をしていた頃は、50床のベッドがあれば、その半分は治る見込みのない患者で占められていました。彼らの多くは、がんの痛みが消失することもなく、病院で亡くなっていったのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る