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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

“予言”を上回る超回復 池江選手の五輪と発症年齢の関係

公開日: 更新日:

 明るいニュースに日本中が沸いています。白血病を克服した競泳池江璃花子選手(20)がメドレーと400メートルのリレーメンバーに選ばれたことです。このうれしい話題に元気をもらった方は少なくないでしょう。

 白血病は大きく急性と慢性に分かれ、それぞれにリンパ性と骨髄性があって、4つに分かれます。池江さんの白血病発症が流れた2年前、私は当欄で急性リンパ性白血病の可能性に触れ、その治癒率は8割に上ることから、「治療が終われば復帰は可能。まだ18歳。オリンピックでのメダルの可能性は、十分あるはずです」と書きました。

 その根拠は、白血病に限らず、多くのがんは治癒すれば、治療前の体力に戻るのが一般的だからです。白血病もそう。池江選手が受けた骨髄移植による筋力ダウンなどの影響は強く、早期の回復は難しくても、リハビリに努めれば元の体力に戻すことができます。

 ですから、当時の「可能性」はパリを想定したものでした。池江さんと同じタイプの白血病を同じく骨髄移植で克服したJ2新潟の早川史哉選手(27)がピッチに戻るまで3年7カ月かかっていますから、2年余りでの五輪出場は驚異的といえるでしょう。

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