著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

咳止めには深刻な副作用もある 用法用量を守ることが大切

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 病院に行くほどではないけれど、一刻も早く治したい症状のひとつに「咳」があります。

 咳は、吸い込んだ異物を吐き出して、体を守る防御反応です。口から喉を通って気管支に異物が入ると、脳(延髄)にある咳中枢が刺激され、咳が起こります。いわゆる反射です。

 反射であれば、一度きりですぐ治まります。これが風邪や気管支炎による咳となると、治まるまでに通常3週間程度かかります。それ以上に長引く場合は慢性の咳として、喘息など他の原因が考えられますので医療機関を受診しましょう。

 また、高血圧の薬などの副作用によって起きる咳もあります。薬を飲み始めて急に咳が出るようになったということがあれば副作用が疑われます。

 咳の治療には咳止め=鎮咳薬を用います。「中枢性」と「末梢性」があり、中枢性は前述の咳中枢に働きかけて咳を止めるもので、末梢性は気管支粘膜での刺激の発生を抑えます。主に中枢性を指して鎮咳薬と呼ばれます。

 中枢性にはさらに「麻薬性」(コデインなど)と「非麻薬性」(デキストロメトルファンなど)の2種類があります。麻薬性と聞くと怖いイメージを持ちますが、咳止めとして使用される量では依存などの心配はありません。ただ一方で呼吸抑制作用があり、小児では死亡例もあることから、12歳未満の小児には禁忌(使用禁止)とされています。成人でも用法用量を守って正しく使いましょう。

 また、麻薬性鎮咳薬では便秘や眠気の副作用が知られています。便秘はQOL(生活の質)低下に、眠気は重大な事故につながりかねませんので要注意です。市販の咳止めや風邪薬(総合感冒薬)にも含まれている場合があるため、薬を選ぶ際に気になる場合は薬局で相談するのがおすすめです。

【連載】身近な病気の正しいクスリの使い方

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