著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

ヘンテコな動きをすると落ち込んでいても元気が出る

公開日: 更新日:

 寒い冬はただでさえ気持ちが沈みやすいというのに、オミクロン株の猛威で再び抑圧された状況下で生活を送らざるを得ない--。そんな雰囲気が漂ってきました。

 ストレスがたまりそうなときは、「ヘンテコな動きをすると楽しい気持ちになる」いう米サンフランシスコ州立大学のペパーらの研究(2012年)を思い出してください。

 実験では、110人の大学生を、「背中を丸めてしょんぼりと縮こまった姿勢で歩くグループ」と、「同じ側の手足を同時に動かすヘンテコな動きで歩くグループ」に分け、アクション後に元気度(幸福感・絶望感、楽しい・悲しい記憶の想起など)を自己評価してもらいました。

 その結果、ヘンテコな動きのチームは元気度が大幅に向上。しょんぼりした姿勢のチームは、実験前の予備調査では元気度が高かった人たちですら、アクション後は元気度の大幅な低下が見られました。つまり、楽しい動きは元気になり、しょげた動きは元気をなくさせるというわけです。

 脳科学者や心理学者の間では、体の動きを見て意識が働きだすことが常識になっています。脳は、頭蓋骨という真っ暗な密室に閉じ込められていて、体の諸器官から送られてくる情報を頼りに自分の状況を判断します。

 この連載で扱った「フェイクスマイル」を覚えているでしょうか? 口角を上げ笑っているような表情をつくるだけで、実はストレスが軽減される。これは「笑顔だから私は楽しいのだ」と脳が勘違いし、気持ちが高揚していくから。同様に、「変な動きをするほど楽しいのだから、私は楽しいのだ」と脳が勘違いして気持ちが楽しくなっていくのです。

 またペパーらは、元気になった生理的要因として、こういった動きが心拍数を上げるためとも分析しています。心拍数を上げるトレーニングは、うつ病の改善策として用いられることもあるほどです。

 もうひとつ、米ミシガン州立大学アナーバー校のシャファーらは、脳科学のさまざまな先行研究をもとに、感情は体の動きによってコントロール可能であると、実験(2017年)で示しています。シャファーらは、22人の被験者に、「ハッピー」「悲しい」「怖い」「中立的」な感情を表す動作をする動画を見て真似してもらい、その際の脳の活動をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で記録しました。

 すると、跳びはねるようなハッピーな動作をしているときにはハッピーな感情が、肩を落とすような悲しい動作のときには悲しい感情になることが明らかになりました。

 ちなみに、これらの感情の動作の動画をただ見た場合、ハッピーな感情の動画は特にハッピーにはならない一方で、悲しい感情の動画を見たときは悲しい感情になるということもわかりました。

 彼らは、理論と実験結果を前提に、「子供のようにスキップすると、よりハッピーになる」可能性を論文の中で例として挙げています。気分が落ち込んでいるときは、意図的にヘンテコな動きやスキップをすると◎ですよ。

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