著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

腸内細菌の薬で難治性腸炎を予防 3日使用で再発を68%抑制

公開日: 更新日:

 抗生物質(抗菌剤)を飲むと、下痢になることがあります。これは抗菌剤が腸内細菌を殺してしまうために、食べ物や水分の吸収がうまくできなくなることにより起こります。通常は一時的で薬をやめれば元に戻りますが、クロストリジウム・ディフィシル菌という悪玉菌が増えると、偽膜性腸炎と呼ばれる重症の腸炎になることがあります。ほとんどの抗菌剤に効果がなく、一部の有効な薬を使って治っても、半数近い人は再発するという厄介な病気です。

 この再発を繰り返すディフィシル菌の腸炎に対して、健康な人の腸から採取した細菌を利用した、腸内細菌製剤が有効であることが今注目されています。これはファーミキューテス門という、健康な腸にいる日和見菌を精製した薬です。その中にはディフィシル菌の元になった正常な菌が多く含まれているので、ディフィシル菌が増えにくくなる効果が期待されているのです。

 今年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという超一流の医学誌に、それについての最新の臨床試験結果が報告されています。それによると、偽膜性腸炎の再発を繰り返している患者さんに対して、この腸内細菌を3日間使用しただけで、その後の再発が68%も抑制されていたのです。これからは多くの病気が腸内細菌によって、副作用なく予防可能な時代になるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る