著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【紫色尿バッグ症候群】増殖した腸内細菌が原因で尿が紫色に変色

公開日: 更新日:

「紫色尿バッグ症候群」という名称を耳にしたことがあるでしょうか。文字通り、採尿バッグ(蓄尿バッグ)内の尿が紫色に染まる現象です。私も20年ほど前、初めて見た時は「いったい何の病気なんだ?」と、かなりびっくりしました。紫色尿バッグ症候群=PUBS(purple urine bag syndrome)のほか、紫尿バッグ症候群、紫バッグ症候群などともいわれています。

 一般的に尿道カテーテルを長期留置している患者に見られ、慢性便秘症と尿路感染を合併したときに起こるケースが多いとされます。便中のトリプトファン(必須アミノ酸の一種)が、便秘で増殖した腸内細菌によって分解されてインドールになり、そのインドールは肝臓を通りインジカンとなって尿中に排泄(はいせつ)されます。インジカンは尿中のさまざまな細菌が産生するスルファターゼにより、インジゴブルー(青色色素)とインジルビン(赤色色素)が生じます。だから、紫色になるのです。この2つの物質は水には溶けないのですが、プラスチックやポリマーに溶け込む性質を持っているようです。また、プラスチックなどに付着しやすいので、尿バッグにも色がついたままになります。

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