著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【寄生虫による食中毒】「謎の食中毒」の原因はヒラメの刺し身だった

公開日: 更新日:

 これまで取り上げてきたように、食中毒の原因になるウイルスや細菌はたくさんあります。今回は最近話題になった「謎の食中毒」についてお話しします。

 2000年以降、西日本を中心に食後数時間で嘔吐や下痢を発症する食中毒事例が報告され始めます。これらは今までに知られている食中毒の原因物質と一致しないことから、「謎の食中毒」といわれていたのですが、多くの事例で提供メニューに生食のヒラメが含まれていたことが判明し、国による調査が行われました。

 その結果、ヒラメに寄生する「クドア・セプテンプンクタータ」(以下クドア)が、ヒトに食中毒症状を引き起こすことが判明したのです。

 クドアは、ミクソゾア門に属する粘液胞子虫類の一種です。広くいえばクラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物の仲間で、花びら状の特徴的な形をした寄生虫です。クドアの仲間はヒラメ、カレイ、サバなどに寄生し、それらの筋肉をドロドロに溶かしてしまう「ジェリーミート」や、筋肉中にシストと呼ばれる胞子の袋を形成することで商品にならなくなる「奄美クドア症」と呼ばれる現象が水産業界では知られていました。しかし人体に影響はないため、これまでクドアをはじめとする粘液胞子虫があまり一般に知られることはなかったのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁