著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

1位は神奈川「長時間通勤」の健康被害はほとんど分かっていない

公開日: 更新日:

 総務省によれば、往復の通勤・通学時間が長い県(2016年)は、1位が神奈川県(1時間45分)、2位が千葉県(1時間42分)、3位が埼玉県(1時間36分)。以下、東京都、奈良県、大阪府、兵庫県、京都府の順になっています。これには10歳以上の子どもたちの通学時間も含まれています。サラリーマンに限れば、もっと長時間を費やしているはずです。

 長時間通勤が健康に悪いことは、誰もが直観的に分かるはずです。ところが具体的なエビデンスを示せと言われると、実はほとんど見つかりません。欧米の研究事例はあるのですが、通勤形態が大きく異なっているなど、日本の実情に合わないものばかりです。

 国内で行われた数少ない研究結果をまとめると、長時間通勤の人には、疲労感や倦怠(けんたい)感を訴える人が多く、とくに肩こり腰痛に悪影響を及ぼしている可能性がある、また精神的ストレスを感じている人が多い、という当たり前の結論になります。あとは自動車通勤の人は太りやすいといった程度です。

 日本では、通勤時間は労働問題の一部と考えられているため、医学や健康科学の対象になりにくいという実情があります。数少ない論文も、労働関係の雑誌に掲載されており、医学・健康系の雑誌にはほとんど見当たりません。そのためテレビの健康番組や、新聞の健康欄に取り上げられることもなく、放置されたままになっているのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋