著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

水道水の塩素消毒、冷蔵庫普及…生活環境の向上が寿命を延ばした

公開日: 更新日:

 健康や寿命を左右するのは、ズバリ言って、われわれを取り巻く生活環境です。これには電気・ガス・水道をはじめとする社会インフラや、電車・自動車などの移動手段、住宅構造、家電製品、そのほか仕事に使う機械類までもろもろを含みます。過去数十年にわたり、それらが向上することによって、われわれの健康と寿命は驚くほど延びてきました。

 たとえば水道水(上水)の塩素消毒です。日本では1880年前後から全国各地で水道がつくられるようになり、1920年代には塩素消毒が試験的に始まりました。日本軍のシベリア出兵に合わせて、毒ガス用に製造された塩素ガスが結局は使われず、大量に余ったため、水道の消毒に使われたのが始まりとされています。ただし、塩素消毒が本格的に広まったのは戦後、GHQの指示によるものです。

 その結果は劇的でした。汚い水は、胃腸炎の原因になります。実際、胃腸炎は47、48年の死因第3位でした。それが年々順位を落とし、66年を最後に死因ワースト10から姿を消しました。

 胃腸炎の犠牲になったのは、主に乳幼児でした。平均寿命は乳幼児の死亡率に大きく影響を受けますが、それが急激に減ったことで大幅に延びました。47年には男性50歳、女性54歳だったのが、66年にはそれぞれ68歳、74歳になったのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手