著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「漢方薬は安全」は大間違い 重大な副作用が起こるケースも

公開日: 更新日:

 カリウムは筋肉の収縮にも必要なもので、偽アルドステロン症によって低カリウム血症になると、ミオパチーという症状が現れることがあります。ミオパチーとは筋肉に障害が起こることを指し、そのほとんどは筋力の低下を意味しています。

 偽アルドステロン症とミオパチーは、甘草を含む漢方薬の「重大な副作用」として添付文書に記載されています。もちろん、こうした副作用が必ず起こるというわけではありませんし、起こる可能性としては低いといえます。しかし、複数種類の漢方薬を服用している場合は少し話が変わってきます。

 先ほどお話ししたように、多くの漢方薬に甘草が含まれています。複数種類の漢方薬が処方されると、生薬として甘草が重複していることも十分に考えられます。こうなると、偽アルドステロン症やミオパチーのリスクが高くなってしまうのです。

 甘草による副作用が起こっていないかを確認するため、医療機関では定期的に血液中のカリウム量を調べてはいますが、いつどのようなタイミングで起こるかはわかりません。やはり、一度ご自身が服用している漢方薬に含まれる生薬の種類を確認してみることをおすすめします。

 他にも漢方薬の種類によっては、重大な副作用として間質性肺炎肝機能障害などが報告されているものがあります。

 だからといって過度に心配する必要はありませんが、「漢方薬は安全だ」という過信も禁物ですよ。

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