著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

ステロイドは「免疫」や「炎症」に関連した疾患以外でも使われる

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 ステロイドの効果は実にたくさんありますが、病気の治療としては「抗炎症作用」と「免疫抑制作用」を期待して用いられる場合がほとんどです。

「膠原病」は体内にあるコラーゲンに炎症が起こる病気です。コラーゲンは体内のさまざまな組織に存在しているので、膠原病になるとそれらに影響が出ます。では、なぜコラーゲンに炎症が起こるのかというと、自己免疫が関与しているといわれています。通常であれば細菌やウイルスなどの外的要因に対する防御の役割を担っているのが免疫ですが、ここに異常が起こると本来なら攻撃しないはずの自分の組織を免疫が攻撃してしまうことがあるのです。そのため、膠原病は自己免疫疾患とも言われています。

 膠原病は多くの病気の総称で、関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症、全身性強皮症、全身性エリテマトーデスなどが該当し、高齢者に多いのは関節リウマチかと思います。ステロイドが持つ抗炎症作用と免疫抑制作用は、こういった膠原病の治療に効果を発揮します。

 また、炎症が過剰に起こってしまうような病気にもステロイドは有効です。その代表的な疾患が「アトピー性皮膚炎」と「気管支喘息」です。アトピー性皮膚炎は皮膚の防御機能が低下し、皮膚へのさまざまな刺激に対して免疫が過剰に反応することで、かゆみや湿疹などの症状が出現します。気管支喘息は呼吸をする際の空気の通り道である気管支に炎症が起こることで気管支が狭くなり、咳や息苦しさといった呼吸器の症状を起こす病気です。いずれも、過剰な炎症によって引き起こされる病気であるためステロイドが使われます。

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