認知症患者の「夕暮れ症候群」はなぜ起こる? 夕方になると家に帰ろうと落ち着きがなくなり…

公開日: 更新日:

 認知症の患者さんが、夕方になると落ち着きがなくソワソワし出し、「お世話になりました。そろそろ家に帰ります」と、自宅にいるのに帰宅の準備を始めることがよくあります。この症状は、夕方から夜間にかけて現れるので「夕暮れ症候群」や「日没症候群」と呼ばれています。施設に入居している人の約10%、在宅介護を受けている人の約60%に、この症状がみられるといった研究データもあります。

 認知症が進行すると、日内リズムの変動が起こります。健常者の場合、夕方でも脳は覚醒していて、眠くなりにくい状態です。しかし、認知症を発症すると日内リズムの変動により、夕方早くから覚醒度が低下して眠くなります。眠くなると、判断能力も低下して混乱が生じ、今いる場所がどこなのか分からなくなるため、帰宅しようとするのです。そのほかにも、自律神経の乱れや、薬の副作用も関係しているといわれています。

 在宅で介護をしている患者さんが帰宅しようとした場合、家族は「ここが家ですよ」とストレートに伝えてしまいがちです。ですが、本人は30~40年前の記憶の世界に戻って生活しているので、今いる場所が現在住んでいる家だと認識できません。頭ごなしに否定すると、患者さんはさらに混乱してしまい、せん妄や徘徊を引き起こす恐れがあります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁