著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【クリニカルパス】手術での「抗菌薬の適正使用」が進んだ大きな要因

公開日: 更新日:

 私が薬剤師になった頃は、手術後の創部感染の予防のため、抗菌薬を1週間ほど点滴し続けることがよくあったように記憶しています。それが現在は、ほとんどが「術後24時間以内までの投与」となり、心臓手術においても術後48時間までの投与期間にとどめるケースが多くなりました。術後72時間以上の予防抗菌薬の使用は、耐性菌による術後感染のリスクになることがわかり、多くの場合は「短期間の投与」となっているのです。

 また、以前は使用される抗菌薬の種類も医師によりまちまちでしたが、今はかなり統一されるようになってきた印象です。たとえば、皮膚を切開するだけなら、皮膚に常在しているブドウ球菌や連鎖球菌などのグラム陽性菌だけをターゲットにすればよいので、できる限りグラム陽性菌のみ狭域に効果を示すセファゾリンなどの抗菌薬が選択されます。

 しかし、大腸などの下部消化管も切開する場合には、腸管に常在するであろうバクテロイデスなどの嫌気性菌もターゲットとして加える必要が出てきます。

 こうした「手術時の抗菌薬の適正使用」がここ20年ほどで一気に進んだ大きな要因として、「クリニカルパス」の活用が挙げられるのではないかと考えます。クリニカルパスとは、医療スタッフと患者さんが治療計画の情報を共有するために、標準化したルールで患者さんの治療・検査のスケジュールを時間軸に沿ってまとめたものです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも