著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

日々幸せを感じられないのは「過剰負荷環境」にいるからかも

公開日: 更新日:

「過剰負荷環境」という言葉があります。これは、目に入るものや音や匂いといったあらゆる「情報」に囲まれている状況のことを指します。スマホが欠かせない現代人は、まさに過剰負荷環境の中で暮らしているとも言えますが、心理学者のスタンレー・ミルグラムは、人が過剰負荷環境にいるときの特徴を、次の4つにまとめています。

 ①短時間処理(他人に伝える情報を最小限に抑える)②情報の排除(重要でない情報を無視する)③責任回避(問題が起きても、人のせいにしたり、他力本願で自分から動こうとしない)④他者の利用(問題が起こったときなど、自分ではなく他人を使って連絡を取る)──。

 ①は人に道を聞かれたときなどに、必要最低限のコミュニケーションしか取らないことです。②は、道ですれ違う人など、見知らぬ人には関心を寄せないこと。③は電車で老人や妊婦さんが立っていても知らんぷりをする。④は、飲食店でオーダーを他人にやらせるなどの行為です。

 こうしたアクションをしているなら、それは過剰負荷環境にいるということです。そして、必要最低限かつ情報を排除し、自ら積極的に行動を起こさないわけですから、好奇心が育つことは控えめに言ってもないでしょう。「人に関心を覚えない」「何かをしたいと思わない」……。心が冷めてしまう理由のひとつは、過剰負荷環境にいることが挙げられるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性