著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

「ものにときめいて刺激を受けられるなんて今のうちよ!」83歳の女性患者からのアドバイス

公開日: 更新日:

 ご自分の思いを常日頃から私たちに伝えてくださる患者さんで、いつもご自宅に伺うと、おしゃべりに花が咲きます。とても明るい性格で、「体が動くうちは積極的に治療を受けたい。動かなくなったら安らかに自然に逝きたい」など今後のシビアな治療方針なども実にフランクにお話ししていただいています。特におっしゃっていることは「痛いのも苦しいのもいや」「薬を飲むことで生じるめまいもしんどい」。そして、人生についてのお話でした。

「私の旦那はかなり年上で、若いときから旦那の姑や家族の介護をしないといけなかったの。子供も生まれたら子育てで忙しいでしょ~! 子供たちが巣立って落ち着いたのは最近よ。だから、旅行とかは若くて体が動いてドキドキする感情があるうちにしておきなさい! 私は日頃から刺激を受けようと、ときめく心を大切にしているの! 思い立ったが吉日ってのは本当よ」

 私はふと「年を取れば取るほど、抽象的・全般的認識など単なる概念だけが残り、その間に経過した年月は消えうせ、全生涯が想像を絶するほど短く思われる」と、ドイツの哲学者ショーペンハウアーが著書「幸福について」の中で述べている、老年期に時間が早く感じる仕組みを分析した一節を思い出したのでした。

 人にはそれぞれいろんな人生がある。生活の中に入り込みさまざまな生き方や考え方に触れる。そんな出会いもまた、訪問診療の魅力だと思っています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?