梅酒とレモンサワーで「食中毒」対策ができる? 高知大名誉教授が寄稿

公開日: 更新日:

 今回実験に使ったレモン酎ハイは、レモン果汁を3%含む市販の缶酎ハイであるが、居酒屋などで出されるレモン酎ハイの酸味はそれほど強くないかもしれない。酸味が弱いと、強い殺菌効果は期待できない。

 ワインの食中毒菌に対する殺菌効果については、他の研究グループによって確かめられている。たとえばカンピロバクターを赤ワインの中に入れると、菌の99.9%以上、2倍希釈したワインでも99%以上が1分以内に死滅するという。

 梅酒とワインは殺菌作用を有する特別な酒として古くから知られている。その殺菌作用は、これらの酒に含まれるクエン酸などの特別な成分によるという考えが主流だ。これに対し筆者らの実験結果は、「梅酒やワインが特別ではなく、酸味の強い酒類(少なくともpH3.5以下)であれば、どれでも強い殺菌効果がある」ということを示したものとなる。

 酸味の強い酒類にはクエン酸などの有機酸が含まれている。有機酸単独でもある程度の殺菌効果があるが、エタノールと混ざると殺菌効果は爆発的に増大するようだ。

 では、酸・エタノール混合液には、なぜ強い殺菌作用があるのだろうか? 筆者らの仮説を紹介しよう。エタノール分子が細胞膜に入り込み、膜にわずかな隙間ができ、水素イオンなどが通過しやすくなる。すると酸性の液中に多量に存在する水素イオンが微生物の細胞内に流入し、細胞内pHは急激に下降。タンパク質などの分子が壊れ、微生物は死滅すると考えられる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」