著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

脳がいかにいい加減かを証明する「インビジブル・ゴリラ」って何だ?

公開日: 更新日:

 しかし、この実験の狙いはパスの回数を数えることではありませんでした。この動画には、白と黒のTシャツを着た人以外にも、「ゴリラの着ぐるみを着た人」が登場するのですが、それに気づくことができるか--というのが本題だったのです。

 興味深いことに、ゴリラは隠れているわけではなく堂々と登場しているのですが、白いTシャツのパスの回数を数えることに集中したことで、被験者の約半数がゴリラに気が付かないという結果が明らかになったといいます。

 すでにネタバレではありますが、YouTubeで「Invisible Gorilla」と検索すると「selective attention test」という動画が出てくるので、興味がある方はチェックしてみるといいでしょう。

 このように、脳はときにいい加減な判断をしてしまいます。先の「インビジブル・ゴリラ」のような現象を「選択的注意」と呼び、人間の注意力は非常に選択的であり、一定のものに注意を向けさせると、違うものに対しての注意は適当になってしまうことが示唆されているのです。

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