著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

市販の除菌製品に十分な殺菌力は維持できない? 43品目を分析

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの世界的なパンデミック以降、感染症に対する予防意識が高まり、消毒の重要性が広く認識されるようになりました。実際、除菌や抗菌、ウイルス除去などと表示された除菌製品(衛生用品)の種類は豊富であり、ドラッグストアなどでも手軽に入手できます。しかし、これら除菌製品の多くは、医薬品としての承認を受けておらず、消毒効果が保証されているわけではありません。

 そのような中、日本で販売されている除菌製品について、配合されている消毒成分の濃度や消毒効果を検討した研究論文が、日本薬学会が発行する医学誌の電子版に、2024年10月11日付で掲載されました。

 この研究では、ドラッグストアやコンビニエンスストアで購入できる除菌製品43品目が分析対象となりました。各製品に含まれているエタノールや塩化ベンザルコニウムなど、消毒成分の配合濃度と、細菌(緑膿菌および腸球菌)に対する殺菌力が調査されています。

 調査の結果、除菌製品に配合されている消毒成分は、十分な消毒効果を期待できる濃度を大幅に下回っていました。例えば、エタノールを配合した19品目のうち、適切な消毒効果が得られる60%以上の濃度で配合した製品は2品目のみでした。また、塩化ベンザルコニウムを配合した13品目のうち、適切な消毒効果が得られる0.05%以上の濃度で配合した製品は1品目のみでした。さらに、調査の対象となった43品目のうち、半数以上の24品目で十分な殺菌力を認めませんでした。

 論文著者らは、「消費者が安心して消毒剤を使用できるよう、除菌製品として販売されている品目についても、有効性に関する基準や規制を設けるべき」と結論しています。

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