(23)何もできなくなった母…どうすれば自宅に戻せるのか

公開日: 更新日:

 母の介護認定をめぐって、私は地域包括支援センターと何度も連絡を取り合っていた。入院中の母は、薬の調整が進んで精神状態が安定しつつあり、病院側からはそろそろ退院を考えてほしいと伝えられていた。しかし、認定の結果が出るまでは、次の一手を打つことができなかった。

 母が家に戻れば、父と2人の生活が始まる。しかし、がんサバイバーである父も、次第に体力が落ち、認知の状態が低下してきているのではないかと私は感じていた。仮に自宅での生活を選び、いくつかの支援を受けられたとしても、それだけで母の生活を支えきれるとは思えなかった。

 そうなると、私が東京から戻って介護をするしかないのだろうか。その考えが頭をよぎるたびに、私は感情を捨てた。

 やがて、母の要介護認定の面接が終わったと連絡が入った。結果が出るのは1カ月ほど先になるという。12月半ばには通知が届くだろうと聞き、私はその頃に帰省して必要な準備が進められるよう段取りを始めた。

 母の要介護度がわかった時点で、どう動くか。自宅に戻ってきてほしいという父の思いと、自分のことが何もできなくなった母の生活。この2つを両立させるには、住み慣れた家での暮らしを続けながら、必要な介護や医療ケアを受けられる「看護小規模多機能型居宅介護」(看多機)の利用が適しているのではないかと包括の担当者から提案があった。要介護1以上であれば利用できる点も現実的だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋