(1)私の脳がおかしいのかな…電話がかかってきた

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 私は東京に住んで30年ほどになる。猫5匹と暮らす独身ひとり暮らしだ。実家は熊本にあり、両親が住んでいたが、あるとき母の認知症がわかり、専門病院に入院。その半年後に父親が自宅で急死しているという出来事に見舞われた。

 今回は4回連載で、母親が認知症と気づくまでのことを書こうと思う。

 年齢より若く見えて元気なことが何より自慢の母は、70代からパークゴルフを趣味とし、近所に住む叔母たちと誘い合い、毎日のように出かけていた。

 そんな母の気分が沈み始めたのは、2019年秋。近所に住む仲の良い茶飲み友達である2歳年上のYさんが、急に亡くなったことがきっかけだった。穏やかで物腰の柔らかい「Yのおばちゃん」は私も大好きな人で、帰省するたびに母と遊びに行くほどだった。しかしある夜の風呂上がりに急に倒れ、帰らぬ人となった。大動脈解離ということだった。

 当時、母は81歳。Yさんの急逝以降、母は目に見えて落ち込んでいった。後から知ったのだが不安な気持ちを紛らわせようとしてか、同じ市内に住む4人の妹たち、つまり私にとっては叔母たちに、朝から夜まで順繰りに電話をかけては長話を繰り返すようになっていたのだという。

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