(1)私の脳がおかしいのかな…電話がかかってきた

公開日: 更新日:

 私は東京に住んで30年ほどになる。猫5匹と暮らす独身ひとり暮らしだ。実家は熊本にあり、両親が住んでいたが、あるとき母の認知症がわかり、専門病院に入院。その半年後に父親が自宅で急死しているという出来事に見舞われた。

 今回は4回連載で、母親が認知症と気づくまでのことを書こうと思う。

 年齢より若く見えて元気なことが何より自慢の母は、70代からパークゴルフを趣味とし、近所に住む叔母たちと誘い合い、毎日のように出かけていた。

 そんな母の気分が沈み始めたのは、2019年秋。近所に住む仲の良い茶飲み友達である2歳年上のYさんが、急に亡くなったことがきっかけだった。穏やかで物腰の柔らかい「Yのおばちゃん」は私も大好きな人で、帰省するたびに母と遊びに行くほどだった。しかしある夜の風呂上がりに急に倒れ、帰らぬ人となった。大動脈解離ということだった。

 当時、母は81歳。Yさんの急逝以降、母は目に見えて落ち込んでいった。後から知ったのだが不安な気持ちを紛らわせようとしてか、同じ市内に住む4人の妹たち、つまり私にとっては叔母たちに、朝から夜まで順繰りに電話をかけては長話を繰り返すようになっていたのだという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 2

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  3. 3

    国民民主党「新人都議」に渦巻く“スピリチュアル疑惑”…またも露呈した候補者選定のユルユルぶり

  4. 4

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    高橋真麻がフジ港浩一前社長、大多亮元専務を擁護の赤っ恥…容姿端麗な女性集めた“港会”の実態知らず?

  2. 7

    参院選「自民裏金議員15人」で当確5人だけの衝撃情勢…比例は組織票があっても狭き門

  3. 8

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?