(30)どの施設ならいいのか…判断材料はほとんどなかった

公開日: 更新日:

 母がどのような施設なら無理なく暮らせるのか。入所後に医療的なケアがどれくらい必要なのか。月々どの程度の予算を見込んでおくべきなのか。判断材料がほとんどなく、具体的な像を描くことは難しかった。なにより、頼りになるのは母が今後もらうことになる遺族年金のみ。その金額すらまだあやふやだったのだ。

 さらに、その時点ですでにケアマネジャーに相談できる状況だということすら知らなかった。介護保険制度では「要支援1~2」に認定された場合は地域包括支援センターが介護予防ケアプランの作成を担当し、「要介護1~5」に認定された場合は、ケアマネジャーがついてケアプランの作成やサービスの調整を無料で行う仕組みになっている。母は「要介護2」だったため、本来であればすでにケアマネジャーを選任できる段階に入っていたことになる。

 加えて、この頃はまだコロナ禍のただ中だった。施設見学はどこも受け入れておらず、現地に足を運んでの確認は不可能だった。母がこの先どこで暮らしていくのか。現実的な選択肢を探すはずの段階で、私の前には大きな関門がいくつも立ちはだかっていた。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    朝ドラ「風、薫る」“シマケン”はブーイングも…Aぇ! Group佐野晶哉には「オファー増」の追い風

  2. 2

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  3. 3

    “世界ランク1位”の座を捨てて甲子園へ 享栄・上江滝拓未「将来はプロかバスの運転手」

  4. 4

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  5. 5

    りくりゅうペア大逆転金メダルを呼んだ“かかあ天下” 木原龍一はリンク内外で三浦璃来を持ち上げていた

  1. 6

    りくりゅう“ジュニア”に早くも金メダル期待 一般家庭の子にはない「血」と「資金」の強み

  2. 7

    高市政権が国民資産「強奪」計画! 現預金1100兆円を狙い撃ち、放漫財政のツケを庶民のフトコロに押しつけ

  3. 8

    ビートたけし&島田洋七「ほとんどリタイア」の現在地…「おお元気か?」と連絡し酒を酌み交わす

  4. 9

    日本ハムは「レイエス流出阻止」が最優先課題 優勝争い&新庄監督の去就以上に重大なワケ

  5. 10

    警察は田岡邸を没収し、兵庫県や神戸市の持ち物にしたらどうだ