腸はなぜ「第二の脳」と呼ばれるのか…体をうまく機能させるには腸を整えることが不可欠
腸内の情報は複数のルートで脳に伝えられる。例えば腸内細菌が作り出した代謝物が血液を介して脳に届けたり、腸内分泌細胞にホルモン分泌を促し、そのホルモンにより脳に届けたりする。ただし、こうした伝え方は時間がかかる。
「ところが近年になって腸の情報をダイレクトに脳に伝える仕組みが発見されたのです。それが『ニューロポッド細胞』です」
ニューロポッド細胞は、腸管内に存在する特別な分泌細胞で、電気的に興奮し、ホルモンと神経伝達物質を同時に分泌して、エネルギー源となるブドウ糖やショ糖を腸管内で吸収した情報を求心性迷走神経を介して速やかに脳に伝え、摂食行動や満腹感の調整に関与する。実際に腸に直接ブドウ糖を投与したマウス実験でそれが確かめられている。
「この細胞が面白いのは舌では見分けのつかない甘味の違いを、分泌する神経伝達物質を変えることで他の栄養素の情報とは別ルートで素早く脳に知らせることです。ヒトは砂糖も人工甘味料も同じように甘く感じますが、カロリーのある砂糖を好むのはこの細胞によるものだといわれています」