【YKK AP】創業理念「膳の順環」で利益を社員に還元
「業績は比較的安定していますし、先代のオーナー社長の精神を受け継ぎ、雇用は守ると宣言しています。仕事は忙しいですが、居心地は悪くありません」
こう語るのはYKKグループの建材会社「YKK AP」のHさん(35)。YKK創業者の吉田忠雄氏が唱えた「善の巡環」の中には、「本来、株主は社員であるべき」という考えがある。社員に貯蓄を奨励し、その一部で自社株を購入。会社が生み出した利益は顧客や取引先と並んで、従業員に還元するという社員重視の姿勢を貫いている。
「先代や今の経営者が言っている会社の精神に共感する社員が中堅層以上に多いですね。給与やボーナスの一部を一般の利率よりも高い社内預金に回す人もいますし、自社株を保有している人もいます」
実際、YKKの株式保有割合のトップは従業員持ち株会だ。
Hさんの基本給は31万円。これに時間外手当の5万円と住宅手当と家族手当を含めて、月給は43万円。昨年のボーナスは160万円で、年収は約680万円だった。