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田丸昇
著者のコラム一覧
田丸昇

1950年5月5日、長野県東御市生まれ。元日本将棋連盟理事。中学生で奨励会入りし、佐瀬勇次名誉九段の門下生となる。長髪から「ライオン丸」というニックネームで知られた。16年10月に現役引退。近著に「名棋士の対局に学ぶ 詰め&必死」(創元社)がある。

「杉本×藤井」で思い出した 私の“ほろにが”師弟対決の記憶

 将棋の公式戦で師匠と弟子が対局することは珍しくない。

 その最たる例は1969(昭和44)年の名人戦で、師匠の大山康晴名人(当時46)に弟子の有吉道夫八段(同33)が挑戦したものだ。当初は師弟戦らしい和やかな雰囲気が漂っていたが、有吉が3勝2敗と勝ち越して一変した。あと1勝で「新名人誕生」の話題と、名人戦10連覇で無敵だった大山の「巨星墜つ」の衝撃が、社会的にも注目された。

 しかし、大山は2連勝して名人位を死守した。カド番に追い詰められた心境を「どうにでもなれという気持ちでした」と語った。一方の有吉は「何か戸惑いを感じました」と語った。いずれも正直な感想だろう。

 3月8日に杉本昌隆七段(49)と藤井聡太六段(15)の師弟が王将戦で対局した。

 藤井が10歳のときに師匠になった杉本は、早くから藤井の類いまれな才能を認めていた。そこで自分の固定観念を植えつけたくないので、指導対局をあえて避けた。藤井が有段者になってから実戦を始めると、弟子のほうがすでに強くなっていた。これまでに100局ほど指し、杉本の勝率はおよそ2割だった。

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