奥野修司
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奥野修司ノンフィクション作家

▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「本当は危ない国産食品 」(新潮新書)がある。

「減農薬栽培」のカラクリ…危ない薬を使うと回数が減る

公開日: 更新日:

 人間の神経系に作用することが分かっているネオニコチノイド系農薬。

 ちなみにイチゴのニテンピラムというネオニコチノイド系農薬の残留基準値は、EUでは0・01ミリグラム/キロなのに、日本は500倍の5ミリグラム/キロ。もしこの農薬が基準値いっぱいまで残っていたとしたら、ニテンピラムの1日の摂取許容量(ADI)は0・53ミリグラム/キロだから、10キロの子供なら、1日の摂取許容量5・3ミリグラム。残留基準値いっぱいのイチゴを1キロちょっと食べると1日の摂取許容量をオーバーしてしまう。

 ADIがEUと同じでも、それぞれの農産物について、日本の基準値がEUの100~1000倍もゆるいから、多めに食べると簡単に摂取許容量を超えてしまうのである。もちろん、1キロなんて食べないだろうと思うかもしれない。摂取許容量を守れば大丈夫と。だが、それ以下なら安全だと、誰が責任を持って言えるだろうか。責任もとれないのに、軽々しく「安全です」なんて言ってほしくない。

 ところで、「減農薬栽培」という言葉を聞いたことがあるだろうか。農薬の散布回数は、その地方で認めている回数(慣行栽培)がある。その回数の半分以下なら「減農薬栽培」と表示できる。「減農薬」から、農薬が少なくて安全というイメージが伝わってくるが、実はネオニコチノイド系農薬は残留時間が長いから、これを使うと簡単に減農薬栽培ができるのである。農家には人気の農薬なのだ。ネオニコチノイドで減農薬なんて、冗談だけにしてほしい。

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