今泉健司さん<5>介護という天職のおかげで心に余裕が

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 介護の職場では、生活サポートはもちろん、レクリエーションも行った。施設の利用者と将棋を指したこともある。

「『ワシはアマチュア5段で、誰にも負けたことがないんじゃ』と自慢するおじいちゃんがいたんです。そこで、僕が相手をして5連勝したら、『わしゃ、こんなに負けたんは初めてじゃ~』って泣いちゃった。そのおじいちゃんは拒食症で、それまで食事を拒否して食べず、心配していたんですけど、翌日から『あいつに勝たないけん』といって食べ始めたんです」

 他の施設から声がかかり、利用者30人ほどを相手に多面指しで指導対局をしたこともあった。

「『勝った!』『負けた!』と喜んでもらえて楽しかった。こんなふうに僕の将棋の経験が役立つこともあるんだな、と気づかされました」

 26歳で最初に奨励会を退会した時、周りの人たちが「人生に無駄な経験はない」と言ってくれた言葉を実感した。しかし、楽しいことばかりではない。利用者の死に接することも少なくなく、人生観が大きく変わった。

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