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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

麻布、開成、武蔵も…学習塾に支配される名門進学校の厳しい現実

公開日: 更新日:

「中学受験を主とする学習塾が、進学校にとって無視できない存在になったのは1990年代後半あたりから」と振り返るのは都内私立中高一貫男子校「御三家」の一角、麻布の元教師。

「かつては、学習塾の動向など、まったく気にしていなかった。というより、彼らと接点を持つこと自体、良しとしなかったのです」

 教職にある者の大半は学習塾に対し、住む世界が違うという意識が強かった。

「言い方は悪いですが、教育をビジネスにすることを汚らわしいとさえ思う先生も少なくなかったのです。自分たちもそれで生活している点では変わりないのですが」

 進学校に対して、大手の学習塾はさまざまなアプローチをかけてくる。交流することによって、貴重な情報を得るためだ。さらには、イベントやフォーラムに名門校の校長を招聘できれば、学習塾の信用度は一気に増す。だが、学校側がそうした誘いに乗ることは少なかった。面会すら拒むケースが多かったのだ。

 しかし、次第に双方の力関係に変化が現れる。「学習塾が中高一貫校の人気を左右するようになった」と話すのは、大手学習塾で進路指導にたずさわっていた元スタッフだ。

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