衆院選公示日に北朝鮮ミサイル発射 絶妙タイミングでよぎる「自民党勝利」のジンクス

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 なんだか嫌な予感だ。衆院選が公示された19日、北朝鮮が日本海に向けて短距離のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を発射した。岸田首相は地方遊説を切り上げて帰京。地元の衆院千葉3区内入りしていた松野官房長官も慌てて官邸に戻った。

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 野党共闘にピリピリする与党周辺は、「国民の命を守る安全保障の強化を」「日米安保廃棄を唱える政党に国は守れない」などと大騒ぎだ。北朝鮮の強行にアシストされ、息を吹き返した安倍政権の悪夢が蘇る。

 韓国軍合同参謀本部の分析によると、北朝鮮が発射したのは1発。変則軌道で約600キロ飛行、最高高度50キロで、新型の可能性があるという。北京五輪を3カ月後に控える中、数少ない友好国の中国に気を使う北朝鮮が技術向上のため試射ペースを上げるとみられてはいたものの、今年はこれで4回目だ。

■何度もアベ復活

「北がミサイルを発射したのは、北朝鮮問題をめぐる日米韓の情報機関トップによる会合や、高官協議を目前にしたタイミング。日米韓の動向を意識した動きである面は否めない。その一方で、北はどういうわけか安倍政権が窮地に立たされた時もミサイルを撃ってきた。裏で握っているのではないか、領収書不要の官房機密費を回しているのではないか。そう冗談交じりで言われるほど、絶妙なタイミングだった。一種のジンクスです」(日韓外交筋)

安倍1強への足掛かりに…

 2012年衆院選の投開票日直前に北が発射し、自民党が政権奪還。第2次安倍政権が発足した。モリカケ疑惑で安倍元首相が追い詰められた17年には8カ月連続で発射。安倍元首相は「国難突破解散」に利用した。よくよく振り返ると、北が連射した13年は参院選で衆参ねじれが解消。安倍1強への足掛かりになった。

 衆院選公示日のミサイルに、劣勢の自民はここぞとばかりに大騒ぎ。あらゆるトピックスに絡む片山さつき参院議員が〈屈さず更に備えなければ〉とツイッターに書き込むのは別としても、「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員も、〈迎撃だけで守る事は困難。相手領域内への反撃能力を持つことによる自前の抑止力向上の必要性大〉とツイート。安倍元首相らタカ派が求める敵基地攻撃能力保有を正当化した。

 安倍元首相周辺を長らく「安倍一味」とディスってきた北朝鮮メディアは、岸田首相を「岸田一味」と呼び始めている。まさか、歪んだラブコールなのか。

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