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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

裏口入学はなくなったのか? 社会を驚かせた2018年の東京医科大「不正入学」事件

公開日: 更新日:

あの事件以来、露骨な裏口入学はほぼなくなった」と話すのは有名私大医学部の元教授。文部科学省のS局長が受託収賄の容疑で逮捕されたのは2018年7月のことだった。同省の私大支援事業選定で便宜を図る見返りに、東京医科大学が入試でS局長の次男に不正な加点をして合格させたというもの。昨年7月、東京地裁は「入試の公平性をないがしろにした」としてS被告に懲役2年6月、執行猶予5年の判決を言い渡した。東京医大の前理事長と前学長にも有罪判決が下った。

「入試の不正をチェックする側の文科省と大学との間の贈収賄に裏口入学が使われるとは前代未聞」と驚く元教授(東京医大とは別の大学)だが、加点するのは昔からよくある手法だという。

「いわゆる“ゲタ履かせ”です。箸にも棒にもかからない受験者に加点することはなく、数点足せば合格ラインに到達するケースが対象。出来の悪い学生を増やして医師国家試験の合格率が下がっては、大学にとってマイナスになりますから」

 ただ、東京医大の場合はかなり悪質だった。私大医学部でよく行われてきた1桁台のゲタ履かせではなかったのだ。1次試験(400点満点)でS局長の次男を含む6人に対し、10~49点を加点していた。「やりすぎ。ばれて当然」と元教授もあきれる。

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