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和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

高齢者男性が陥りがちな“カネ持ちパラドックス” 時には子供に「嫌われる勇気」を持つべき

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 しかし、自宅が高級住宅地で売却すれば高額な売却益を見込めたり、男性に多額の貯金や金融資産などがある場合は、「その女性は財産目当てに決まってる。お父さん、目を覚まして」などと反対される可能性も想像できます。

 もうひとつ、カネ持ちパラドックスの典型例を紹介しましょう。裕福な高齢者が高級老人ホームに入居しようとすると、子供に反対されることは珍しくありません。これも子供から見ると、財産が目減りするためです。

 老人ホームは一般に所有権ではなく利用権で、10年で償還されることがほとんどです。たとえば3億円で入居した高級老人ホームの価値は、10年後にはゼロ。遺産相続を期待する子供から見れば、その分の財産が目減りするため、「僕がしっかりと介護するから」などと老人ホームへの入居を反対するのです。

■子供が親の介護をする保証はない

 親の幸せを考えるのではなく、自分が受け取る財産を基準に考える子供が親の介護をきちんとしてくれる保証はありません。日本の高齢者は、子供に嫌われたくなくて、そんなときの再婚は諦めることがよくありますが、高齢者はときに「嫌われる勇気」を持つべきでしょう。

 私の周りには、子供の反対を押し切って再婚を貫いた人が複数います。頑張って築いた貯金を無条件に子供に残すのではなく、自分に使うべきだと思います。余生を一緒に過ごしてくれる女性が現れたなら、貯金をその女性との生活に費やすことは悪くはないでしょう。

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