忍者修行に行ってみた(前編)「エイッ、ヤッ、トー、ハッ」の気合が大事…まずは「肚」を鍛えよ

公開日: 更新日:

「忍者」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。暗殺者やスパイ、泥棒……。忍者の教えを現代に継承する忍道の習志野青龍窟師範(35)は「『忍者とはこうだ!』とバシッとひと言で表せればいいんですけど」と苦笑する。鍛錬を積めば誰でも忍者になれるのか。螺旋丸を撃てるのか。尽きぬ疑問を抱えた日刊ゲンダイ記者は習志野師範が主宰する忍道稽古に参加した。【全2回の前編】

  ◇  ◇  ◇

「まずは『九字切り』から始めましょう」

 聞き慣れぬ言葉に戸惑いつつ始まったのは、発声練習も兼ねた九字法。「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」の九字を上級者は1字ごとに両手で印を結びながら、初級者は目の前に格子を描くように右手人さし指と中指の2本で宙を切りながら発声する稽古だ。

 人前でシラフで大声を出す機会なぞ、野球部に所属していた高校生のころ以来である。その日の稽古に参加した生徒2人と習志野師範を前に堂々と九字を切ったつもりが、まったく声が出ている気がしない。己の未熟さを痛感した。

 日刊ゲンダイ記者が出だしでつまずいた忍者修行は、東京・JR中野駅から徒歩10分の距離にある空手道場で月2回開かれているもの。ほかに板橋でも月2回稽古しているという。

 そもそも「忍道」とは何か。立ち上げたのは、忍者を日本の文化遺産として世界に発信するために自治体や大学、観光協会などが参画して結成した「日本忍者協議会」。現代の「最後の忍者」と呼ばれる甲賀流伴党21代宗家の川上仁一氏や三重大の山田雄司教授(人文学)、歴史学者の磯田道史氏が顧問を務めている。

「『忍道』という言葉自体は古く、江戸初期の伝承に出てきます。ざっくり言えば、我々の言う『忍道』は江戸時代以前の忍術を資料に基づいて研究し、実技を通じて身体も鍛錬することでしょうか」(習志野師範)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  2. 2

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  3. 3

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  4. 4

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    石狩市民図書館(北海道)鮭、石狩鍋、俳句関連が豊富、新鮮な野菜も買える

  2. 7

    倉田真由美さん「人生100年もいいけれど、一日一日を悔いなく生きたい」…夫の死を機に死生観・人生観に変化

  3. 8

    青森県の紅葉名所でクマが箱わな破壊し脱走の仰天…総入れ替えしたばかりだったのに

  4. 9

    クマ出没地域はどこも疲労困憊、我慢の限界…秋田では男女4人襲われ1人死亡3人重傷

  5. 10

    小川晶市長「ラブホ密会」の震源地…群馬・前橋市のナイトスポットで“まさかの声”続出

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が