何が「楽しい日本」か? 高額療養費制度の負担上限引き上げで、中間層は1カ月最大13万8600円の負担増

公開日: 更新日:

「納得と共感」は石破政権のキャッチフレーズだが、2025年度予算案の本格審議が始まったばかりの国会では、納得も共感も得られそうにない。政府が今年8月から負担上限を引き上げる高額療養費制度が象徴的だ。

 高額療養費制度は、医療機関や薬局での窓口負担が一定額を超えると払い戻しされる仕組み。継続して高額な治療を受けなければならない、がん白血病など難病患者らのセーフティーネットだ。しかし、厚労省は昨年末の医療保険部会で引き上げ方針を決定。議論されたのは、わずか4回だった。

 あまりに拙速なうえ、見直し内容も容赦ない。政府方針のまま負担上限が引き上げられた場合、例えば年収370万~770万円の中間層は最終的に1カ月あたり最大13万8600円の負担を強いられる。現行基準に比べて5万8500円もの負担増だ。

■当事者は蚊帳の外…厚労大臣が認める

 難病患者から治療継続を危ぶむ声が相次ぐ中、1月31日の衆院予算委員会には全国がん患者団体連合会(全がん連)や慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」、日本難病・疾病団体協議会などの関係者10人が傍聴に駆け付けた。がんサバイバーである立憲民主党の酒井菜摘議員が引き上げ決定のプロセスをただすと、福岡厚労相は「当該団体の方から直接お話を聞くことは行っておりません」と当事者を蚊帳の外に置いていることを認めた。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった