著者のコラム一覧
渡辺豪カストリ書房 店主

1977年、福島県出身。IT関連企業勤務から独立して2015年に遊郭・色街関連書籍専門の出版社「カストリ出版」を設立。翌16年に書店「カストリ書房」(東京都台東区・吉原弁財天前)を開店した。京都芸大非常勤講師。著書に「遊廓」(新潮社)、「戦後のあだ花 カストリ雑誌」(三才ブックス)など。近著に共著「吉原の怪談」(発行・白澤社、発売・現代書館)。

(1)昭和31年に遊郭は5万軒あって、コンビニの密度とほぼ同じだった

公開日: 更新日:

 2024年春に東京芸大美術館で「大吉原展」が開催され、今年はNHK大河ドラマべらぼう」が話題となり、江戸幕府公認の遊郭「吉原」を身近に感じるようになった人も少なくない。そんな吉原遊郭の今昔を「令和の蔦重」渡辺豪氏に語ってもらった──。

 YouTuber紅子──。

 元吉原ソープ嬢を名乗り、現在はYouTuberとして活躍している女流写真家をご存じだろうか?

 今を去ること70年ほど前、売春防止法が施行されるまで、我が国では公然と売春が営まれていた。

 もちろん現在もソープランドと呼ばれる性産業では、本番すなわちセックスの売買が盛んに行われているが、同法が施行されるまで「遊郭」と俗称される売春地帯が国内の至るところにあった。

 こうした売春地帯は、赤線・青線・パン宿などさまざまな名称で呼ばれ、昭和31年の段階で5万軒を数えた。これは現在の人口におけるコンビニの密度とほぼ同じである。

 しかし現在では当時をしのぶよすがの多くは失われている。当時20歳だった人びとが現在は日本人の平均寿命を超えており、記憶も失われつつあるタイミングに差し掛かっていることを思えば、無理もない話だ。

 冒頭の紅子さんは、残りわずかとなった遊郭の名残を全国探し求めて、精力的に撮影取材している写真家だ。

 今年年始に実施されたクラウドファンディングでは、写真集の刊行を目的に掲げ、800万円を超える支援が集まった。

 彼女のYouTubeチャンネル「紅子の色街探訪記」登録者は4万人を超えている。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  2. 2

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  3. 3

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  4. 4

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  5. 5

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  1. 6

    高市首相「議員定数削減は困難」の茶番…自維連立の薄汚い思惑が早くも露呈

  2. 7

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 8

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然

  4. 9

    高市首相は自民党にはハキハキ、共産、れいわには棒読み…相手で態度を変える人間ほど信用できないものはない

  5. 10

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗