老年の生態を描く人気エッセイストに聞いた「モテるシニア男性」ってどんなタイプ?

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互いに自立することが老年夫婦には重要

 定年後のおじさんもテーマに選んだ小川さん。実生活でも「自立夫育て」に挑んだという。

「夫の定年退職の1日目、お昼に作った干物定食をきれいに平らげ、満足そうに箸を置いた夫に『明日から、お昼ごはんは自分で作ってね』と言いました」

 ガーン! 予想もしていなかった妻の通達に驚いた小川さんの夫は、あわてて「めしとキムチだけでも、何でもええ……」と言い返してきたが、小川さんは一歩も譲らなかったらしい。

「オジサン(夫)・ごろごろする人、妻・世話する人、のままではまったく楽しくもなく、いい関係にはならない、と強く思いました」

 子供が独立して2人暮らしの老年夫婦にとって、“自分のことは自分で”と互いに自立することが、それぞれの生存につながっていく。そのことを小川さんは長年の取材から知っていたのだ。

「夫が自分で料理できるように育てましたね。その甲斐があってラーメンと冷やし中華の2パターンですが、昼ごはんを作れるようになったんです」

 現在85歳の夫は週3回のジムや社交ダンスのサークルにいそしみ、朝と夜は小川さんが作るバランスがとれた健康的なメニューのおかげもあって、いたって健康のよう。

「男性にとって大事なことは〈調達能力〉です。たとえ料理ができなくてもスーパーやコンビニで総菜を購入してくるなど、食べ物を調達できれば、一人になっても生きていけますよ」

 食事を作ってくれる妻の帰りをじっと待っているより、妻の留守に自分で調達することで、妻に精神的な負担をかけずにすむ。これも夫婦円満の秘訣といえるだろう。

■「鬼滅の刃」の映画館で年配は自分だけ

 さて、小川さんは今年の11月で80歳になる。長寿や健康の秘訣は、かつて介護雑誌でライターをしていた経験も生かされているようだ。

「介護雑誌の取材でわかったのは、片側が麻痺した人が衣類を着たり脱いだりするときのやり方です。まず麻痺がないほうから脱ぐ、着るときは麻痺があるほうから着る、です。五十肩やリウマチの痛みの時にこれを応用して着替えをしています」

 年齢がかさんでくると着替えに時間がかかるが、このやり方はどんな人にも役に立ちそうだ。

「健康は食事からといいます。朝はパンと卵料理、野菜たっぷりのサラダに、ドレッシングは昆布ポン酢。夜はタンパク質豊富な肉や魚料理ですね。また週に2回ジムで筋トレするのを20年以上続けてきました。13、14年前からヨガも続けています。かつては健脚を自任していましたが、一昨年突然リウマチ症状が出てからは遠出がつらくなりました」

 とはいえ、今でも映画館に出向き、一人で映画観賞を楽しむ。電車で10分のシネコンで上映されている話題作は若者向きのものでも「どうして人気があるのだろう」と興味が尽きない。「鬼滅の刃」や「名探偵コナン」も見た。

「『鬼滅』の観賞の際は、25歳以上は自分だけ(苦笑)。『教場』や『ゴールデンカムイ』も見に行こうと思っています」

 映画でエンタメの要因を探る小川さん。常に「学び」を心掛けている。

▽小川有里(おがわ・ゆり) 作家・エッセイスト。1946年高知県高知市生まれ。テーマは、女性、家族、育児、社会現象、シニアなど多岐にわたる。

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