著者のコラム一覧
島田裕巳宗教学者、作家

1953年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。宗教学者、作家。現在、東京通信大学非常勤講師。「葬式は、要らない」「死に方の思想」「日本の新宗教」、「日本人にとって皇室とは何か」など著書多数。

高市首相が今上陛下を「こんじょうへいか」と呼んだのは「不敬」なのか?

公開日: 更新日:

 私は新書を執筆することが多く、それは一般の読者を想定したものなので、「ルビ」を振ることが多い。本が朗読される機会もあるし、最近ではオーディオブックが普及するようになったので、しっかりとルビを振っていないと、出版社がその対応に追われることにもなってくる。

 ところが、とくに古い文献に出てくるような漢字だと、読み方がわからないことが少なくない。徹底して調べても、ルビを振った資料を発見できないこともある。

 きっとこう読むに違いないと考えて、ルビを振ってしまうと、それが先例になり、間違った読みを世の中に流布させる結果になるので、そこは慎重にならなければならない。

 そうした経験を重ねていると、政治家などが読み間違いをしたと指摘されたとき、本当はどうかと調べてみる習慣ができた。それで、「こんじょう」で正しい、むしろそちらの方が伝統にかなっていることを発見したのだ。

 むしろ問題は「不敬」という表現である。

 皇室に対して敬意を失した発言を不敬と表現するのだろうが、それは明治以降の言い方である。古代の律令で不敬と言えば、天皇の服を盗むとか、御所にみだりに入り込むといった物理的な行為をさした。

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