(24)青梅で鰻と酒を
青梅駅にさしかかったときだけ、贅沢をした。鰻の老舗に入ったのだ。吉川英治、池波正太郎など、土地にゆかりのあった文士も来たという鰻屋さんである。
10年ほど前の梅雨明けの頃だった。昼間は、民家の庭先に干されている梅を眺めたりしながら歩き、よく汗をかいた。夕刻のビールがうまい。肝焼きと枝豆が、うまい。
地元の青梅の「澤乃井」の生酒をもらい、白焼きにした。肝焼き、白焼き、それから蒲焼。時間もかかるが、その間、ゆっくり飲む。これこそ鰻屋で酒を飲むときの大人の嗜みと、50代になった頃、初めて覚えたのだ。
鰻屋で飲む。蕎麦屋で飲んだり、寿司屋で飲んだり、大衆食堂や居酒屋で飲むばかりだった私にとって、時間の使い方という点でも、鰻屋で飲むことは、なかなかシブい愉しみだと感じられた。
ワサビをのせた白焼きを一口やり、冷酒をぐびりとやる。このガラス瓶は、300㎖入りだろうか。ということは2合弱。ビールの後、白焼き1枚に合わせるには、量もぴったりだった。
















