藤井聡
著者のコラム一覧
藤井聡京都大学大学院工学部研究科教授

1968年、奈良県生まれ。。ニューディール政策等についての安倍晋三政権内閣官房参与に2012年着任、10%消費税増税の深刻な問題を指摘しつつ2018年12月28日に辞職。著書に『経済レジリエンス宣言』(編著・日本評論社)『国民所得を80万円増やす経済政策──アベノミクスに対する5つの提案 』『「10%消費税」が日本経済を破壊する──今こそ真の「税と社会保障の一体改革」を』(いずれも晶文社)など多数。

<17>10%消費増税は戦艦大和特攻に等しき恐るべき不条理

公開日: 更新日:

不条理な大和特攻という大本営決定

 この週末、ある雑誌の企画で吉田満氏の「戦艦大和の最期」という文学作品についての座談会を行った。この作品は、先の大戦末期、沖縄戦に特攻出撃した戦艦大和の、出撃命令が出てから撃沈されるまでの数週間を描いた物語だ。吉田氏はこの大和の乗船員で、上官の脱出命令を受ける形で九死に一生を得て奇跡的に生き残り、無事生還した後に、たった一日でその初稿全文を書き上げたという。

 この作品には、この大和の出撃に対して「現場」が猛反発していた様子が克明に描かれている。大和には一機の戦闘機の護衛もなく、ほぼ丸裸の状態で何百何千というアメリカの雷撃機・攻撃機の猛攻を受けることが必定であり、一切何の戦果を上げること無く轟沈することは、誰の目にも明らかだったからだ。

 しかし、そんな現場の大反対を完全に無視する形で、大本営からの大和出撃令は覆らなかった。そして案の定、誰もが予期した通り大和は徳之島沖で米軍機の猛攻を受け、攻撃開始からたった数時間であえなく撃沈した。

 一気に3000人を超える特攻死をもたらした、この史上最大の「特効作戦」の全容を記した『戦艦大和の最期』からは、現場が如何に必死に闘ったかが克明に浮かび上がってくる。そしてわれわれ読者はその戦いに対して、その初稿の最後に書かれていたという『天下に恥じざる最期なり』との結語を繰り返す他にない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    木村拓哉「教場」で10年半ぶり“フジ月9”…そしてヒロイン候補に浮上する女優の名前

    木村拓哉「教場」で10年半ぶり“フジ月9”…そしてヒロイン候補に浮上する女優の名前

  2. 2
    ソフトB戦力外・松田の引き取り手は「熱さに飢えた球団」常勝チームを知り尽くす男は“買い”

    ソフトB戦力外・松田の引き取り手は「熱さに飢えた球団」常勝チームを知り尽くす男は“買い”

  3. 3
    阪神・藤浪流出危機に加え…岡田氏と“ギクシャク”の西勇輝は「黒髪アピール」で巨人FA移籍も

    阪神・藤浪流出危機に加え…岡田氏と“ギクシャク”の西勇輝は「黒髪アピール」で巨人FA移籍も

  4. 4
    電動キックボードで男性死亡…運営会社LUUPの釈明に「お悔み申し上げますくらい言えば」の声

    電動キックボードで男性死亡…運営会社LUUPの釈明に「お悔み申し上げますくらい言えば」の声

  5. 5
    松村沙友理との破局言及におけるヒカルの「無配慮」芸能人がYouTuberと交際するリスク

    松村沙友理との破局言及におけるヒカルの「無配慮」芸能人がYouTuberと交際するリスク

  1. 6
    朝倉未来「Breaking Down」で人気のラッパーが逮捕 “警棒”での男性暴行に「やっぱり」の声

    朝倉未来「Breaking Down」で人気のラッパーが逮捕 “警棒”での男性暴行に「やっぱり」の声

  2. 7
    これが安倍氏国葬の内幕…会場では水しか飲めず、官僚は寝落ち、超グダグダ進行に怒号まで

    これが安倍氏国葬の内幕…会場では水しか飲めず、官僚は寝落ち、超グダグダ進行に怒号まで

  3. 8
    大谷の新ボスに元ロッテ監督・バレンタイン氏が浮上! 72歳老将自ら“売り込み”の成果は?

    大谷の新ボスに元ロッテ監督・バレンタイン氏が浮上! 72歳老将自ら“売り込み”の成果は?

  4. 9
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  5. 10
    多額の“手切れ金”支払いへ…村上グループに株買い占められた「セントラル硝子」の覚悟

    多額の“手切れ金”支払いへ…村上グループに株買い占められた「セントラル硝子」の覚悟